茅ヶ崎市美術館で「美術館まで（から）つづく道」が開催

茅ヶ崎市美術館では2019年7月14日(日)～9月1日(日)、企画展「美術館まで(から)つづく道」が開催されます。障害者やマイノリティと位置づけられることの多い人々と取り組んだインクルーシブデザインの手法を用いたフィールドワークをもとに、4組のアーティストが新たな作品を展開します。

茅ヶ崎市美術館のまわりは細い道が入り組んでいるため、「道に迷いやすい」と言われることがありました。しかし、MULPA（マルパ）というプロジェクトにおいて、ある弱視の方が、美術館までの複雑な道のりを“むしろ迷路のように楽しんだ”と言ったそうです。それがきっかけに、インクルーシブデザインの手法を用いたフィールドワークを2018年から1年半にかけて行われてきました。

インクルーシブデザインとは、高齢者、障害者、外国人など、多様な人々を新しい物事を創り出すプロセスの最初から巻き込むことで、従来の思い込みを打ち破り、新たな発想力を引き出す手段として近年注目されているデザイン手法のこと。

本展では、フィールドワークに参加したアーティストが実際に茅ヶ崎を歩いた体験をもとに創作し、4組のアーティストが五感を用いて鑑賞する作品が展示されます。

また、茅ヶ崎市美術館所蔵品の中から萬鐵五郎、小山敬三らによる茅ヶ崎を描いた作品も展示され、異なる時代を生きた表現者のイメージが交錯する場となっています。

4組のアーティストによる新作を展開

01. 短冊形の作品を揺らすと、 様々な音が響く！

作：金箱淳一（メディアアーティスト／神戸芸術工科大学助教）+原田智弘（音空間デザイナー／ソラソレ堂 ）

聴覚障害がある方と、 茅ヶ崎の道を歩いたフィールドワークをもとに制作。 風に恵まれた茅ヶ崎の原風景について、 音と触覚による記憶の記録を試みています。 ※下記イラストは展示イメージ

　《音鈴》 金箱淳一+原田智弘+西岡克浩

02. 小さな子と鳥をテーマに、 複数の時間を一つのキャンバスに描いた絵画作品！

作：原良介（画家）

2才の子どもとベビーカーユーザーのお母さんと、 茅ヶ崎の道を歩いたフィールドワークをもとに制作。 人と自然との距離を制作主題にしている、 画家・原良介による作品。

《土手の上で》 原良介

03. 茅ヶ崎の道で捉えた6つの香りがケースに入った、 探検用貸し出しキット！

作：稲場香織（資生堂グローバルイノベーションセンター 香料開発グループ研究員）
視覚障害がある方と盲導犬と、 美術館から海までの道を歩いたフィールドワークをもとに制作。 道におけるにおいの変化をパレットに落とし込んだ作品。 ※受付で香りパレットを貸し出します

《道の香りパレット》 稲場香織

04. 指を使って作品に触れながら歩くと、 音や光や香りが次々と現れる！

作：MATHRAX〔久世祥三＋坂本茉里子〕（アーティスト、 エンジニア、 デザイナー）
視覚障害がある方と盲導犬と、 美術館から海までの道を歩いたフィールドワークをもとに制作。 電気、 光、 音、 香りなどを用いたオブジェやインスタレーションの制作を行うアートユニットによる電子デバイス作品。

《うつしおみ》 MATHRAX〔久世祥三＋坂本茉里子〕

05. 茅ヶ崎の散歩記憶を記録し、 膨大なリサーチをもとにした壮大なインスタレーション！

作：アーサー・ファン（美術家／理化学研究所脳神経科学研究センター研究員）

電動車椅子ユーザーの方と、 美術館から海までの道を歩いたフィールドワークをもとに制作。 美術家で脳神経科学の研究員でもあるアーサー氏が、 茅ヶ崎の道を歩き、 散歩の記憶を地図のように記号や線で記録した作品。

《茅ヶ崎散歩記憶細胞》 アーサー・ファン

開催概要