一体湘南はどこからかどこまでなの?!
という論争は昔から色んな説があり、もやもやっとする思いを抱いている人もいるかもしれません。
しかし、「湘南発祥の地の碑」という動かぬ証拠がある場所が、ここ「大磯町」です。
更に言えば「海水浴場発祥の地」でもあるから、驚きですね!
このように歴史の香り漂う「大磯町」を、夏の一日にぶらっと散策をしてきましたので、その概要をご紹介しようと思います。
大磯駅から徒歩で気軽に立ち寄れる名所ばかりですので、是非参考にしてみてくださいね。
1.大磯町観光案内所
さて、まず向かったのは「大磯町案内所」です。
扉を開けると、女性の案内人の方が暖かく出迎えてくれました。
大磯をめぐりたい旨を伝えたところ、持ち歩き用の大磯町MAPを頂きました。
ただし、この時(2019年7月21日時点)もらえたMAPは少し古いものだそうで、閉店したお店や無くなってしまった碑などもあるため、詳細は案内人の方に聞きましょう。
こちらではレンタル自転車も1回1台500円で貸し出しをしていますが、今回は大磯駅から徒歩でいける範囲の名所を案内してもらいました。
※レンタル自転車は借りる前に保証料2,000円を預ける必要があります。
ちなみに室内は、大磯のマスコットキャラ「いそべぇ」グッズや大磯のお土産が売られています。
この写真の絵はがき(100円)には大磯で暮らしていた8人の総理が描かれており、プラタモリでも紹介されたそうですよ!
住所:神奈川県中郡 大磯町大磯878−1
電話:0463-61-3300
営業時間:9:00~17:00
定休日:なし(休業日12/29~1/3)
駐車場:なし
運営:公益社団法人大磯町観光協会
2.澤田美喜記念館
大磯町MAPを持って、まずは2014年にリニューアルオープンした「澤田美喜記念館」へ。
正門入口から左手の緑あふれる階段を上っていくと、徐々に美しい鐘や切支丹灯篭とともに澤田美喜記念館の建物が現れます。
こちらの建物は、ノアの箱舟をかたどっているとのことで、なんとも洗練されていて神々しくすら感じました。
入館(一般800円)すると女性の学芸員さんがすぐに出迎えてくれました。
こちらの記念館は、澤田美喜さんが生前集められた隠れキリシタンの遺物がずらりと展示されています。
学芸員さんが一つ一つ丁寧に解説してくれましたが、一番驚いたのは国内に2点しかないという「隠れキリシタン魔鏡」の実演です。
どうみても普通の鏡にしか見えないのですが、光を当てると反射光にキリストが浮かび上がるという仕掛けに、隠れキリシタンの信仰心の深さと技術に驚かされました。
2階は教会となっていましたが、ステンドグラスが素敵でしたよ!
運営:社会福祉法人 エリザベス・サンダース・ホーム
住所:神奈川県中郡大磯町大磯1152
電話:0463-61-4888
営業時間:10:00~16:00
定休日:月曜日(祝祭日の場合は開館、翌日休館)、年末年始
駐車場:なし(大型バスの場合は要相談)
公式サイト:澤田美喜記念館
3.大磯迎賓館
そして、一度大磯駅に戻り「澤田美喜記念館」の反対側の道にある「大磯迎賓館」でランチをしました。
大磯迎賓館は大正元年に建てられた貿易商の別荘ですが、現在はイタリアンレストランとなっています。
本場ナポリの石窯を使ったピッツアは絶品ですよ!
詳しくはこちらをご覧ください。
『大磯迎賓館で優雅な休日ランチ – 本格ピッツァ&イタリアン』
住所:神奈川県中郡大磯町大磯1007
電話:050-3385-0013
営業時間:Lunch:11:30~14:00(L.O)、Dinner:17:30~20:00(L.O)
定休日:水曜日
駐車場:無料 普通車3台(予約優先)*大型バス要問合せ
公式サイト:大磯迎賓館
4.地福寺
「大磯迎賓館」からすぐ近くの小道「さざんか通り」を下っていくと、右手に現れたのは「地福寺」です。
地福寺には、「破壊」や「春」などの代表作を持つ、文豪島崎藤村とその妻静子のお墓があり、毎年8月22日は島崎藤村を忍んで「藤村忌」が催されます。
大磯町内には島崎藤村が晩年を過ごした旧宅(大磯町東小磯88-9、旧島崎藤村亭)も、記念館として残っています。
実は、大磯案内所の方から地福寺に「隠れキリシタン地蔵」様が1体だけいらっしゃるということを聞いていたので、たくさんある地蔵の中からキリシタン地蔵様を探すことに。
お分かりでしょうか?
手に持っている杖が「十字架」になっているのが隠れキリシタンの証拠だそうです。
皆さんも地福寺に訪れた際には、お寺で参拝を済ませてからキリシタン地蔵様を探してみてくださいね。
住所:神奈川県中郡大磯町大磯1135
電話:0463-61-1234
駐車場:なし
大磯町観光情報サイト:地福寺
5.茶屋町路地
散策途中で寄った古道具屋さんから「大磯を巡るなら、ここも面白いから寄ってみたら?」と勧められたのが「茶屋町路地」という不思議な一角です。
こちらのお店は、大磯に別荘を持つ吉田茂元首相の番記者たちが通った居酒屋「月山」をリノベーションしたという「つきやま Arts & Crafts」です。
大磯市の参加作家の作品の常設店であり、総勢30人の作家の作品が購入できます。
ノスタルジー溢れる店内にお邪魔すると、一階の和室と二階の和室はもちろん玄関にいたるまで、あちらこちらに個性溢れる手作り品が並んでいました。
一つ一つの作品にこだわりと味わい深さがあり、思わずじっくり見入ってしまうものばかり。
「つきやま Arts & Crafts」の右側にある小さな路地を進むと、他にもパン屋「Lee’s Bread」、「茶屋町Cafe&deli」、ギャラリー兼茶室「GALLERY お風呂場」などが立ち並び、歩いていると懐かしくも新しい大磯を感じて心地よかったです。
住所:神奈川県中郡大磯町大磯1156
電話:非公開
営業時間:11:00〜17:00
定休日:月曜
駐車場:なし
公式サイト:つきやま Arts & Crafts
6.鴫立庵
大磯を代表する歴史的名所といえば、なんといってもここ「鴫立庵」です。
大磯町指定有形文化財の鴫立庵は、平安時代の歌人である西行法師が、「こころなき身にもあはれは知られけり鴫立沢の秋の夕暮」という有名な歌を詠んだと言われている場所です。
大磯駅から大磯小学校がある通りを道なりに下っていくと国道1号線に突き当り、横断歩道の向こうに緑生い茂る場所があります。
近くに寄ると、階段を降りる形で鴫立庵があり、石橋の下には鴫立沢と呼ばれる渓流が静かに流れていて、とても落ち着きます。
入庵(一般300円)すると、受付の女性から「涼を取れますし、蚊よけにもなりますから」と団扇の貸し出しがありました。なんとも風流です。
庵内には石碑マップがあるほど記念碑、墓碑、句碑などがそこかしこに並んでいます。
その数86というからすごい数ですよね。
特に鴫立庵の創設者が運んで祀ったという五智如来は見どころの一つです。
中でも気になったのは、このユーモアがある像です。
説明文を読むと、15代鴫立庵の庵主が正岡子規に贈った、蛙の置物のオブジェだそうで、裏側に蛙の顔がありました。
現在鴫立庵では、8月31日まで風鈴祭を行っており、建物の軒や庵内の木々に鉄風鈴が吊るされ涼やかな音を奏でています。
建物内では子どもたちが百人一首を練習している声も聞こえるなど、時代を超えたゆるやかな一時を過ごせました。
住所:神奈川県大磯町大磯1289
電話:0463-61-6926
営業時間:9:00~17:00
定休日:年末年始(12月29日~1月3日)
駐車場:なし
公式サイト:鴫立庵
7.湘南発祥の地の碑
鴫立庵のすぐ横に「湘南発祥の地の碑」があります。
冒頭で「どこまで湘南なのか」という論争についてお話しましたが、大磯が「湘南発祥の地」であると主張するのには、もちろん理由があります。
江戸時代に鴫立庵創設者の崇雪が、西行の歌にちなんだ「鴫立沢」の場所を示すために「著盡湘南清絶地」という碑を建てたのが「湘南の始まりだった」という説です。
ちなみに2016年には大磯駅前にも「湘南発祥の地の碑」がもう一つ建てられました。
住所:神奈川県中郡大磯町大磯1292
8.新島襄終焉の地碑
さて、鴫立庵から国道1号線を照ヶ崎海岸入口の方へ進んでいくと、「新島襄終焉の地碑」があります。
新島襄は同志社大学の創設者として有名ですよね。
晩年は心臓病疾患のため大磯にあった百足屋という旅館で静養していたそうです。
こちらの碑は、新島襄の門下生たちによって、百足屋の跡地に建てられたとのことです。
住所:神奈川県中郡大磯町大磯1104
9.原敬大磯別荘跡地
照ヶ崎海岸入り口から海岸への道を歩いていくと、途中にある駐車場にひょこっと「原敬大磯別荘跡地」の看板がありました。
見落としそうになりましたが、原敬と言えば「平民宰相」として名高い第19代内閣総理大臣ではないですか!
大磯はこういった歴史的な場所がさり気なくあるので、気が抜けませんね。
住所:神奈川県中郡大磯町大磯
10.海水浴場発祥の地の碑と松本順謝恩碑
さあ、とうとう出ました!「海水浴場発祥の地の碑」です。
さかのぼるは明治18年。初代軍医総監を務めたと松本順によって日本で最初の海水浴場が大磯の浜に開設されたと言います。
駅から海岸まで徒歩10分の距離というのは、湘南で一番近いとのこと。
お隣にはドーン!と「松本先生謝恩碑」が建っています。
なんと、こちらの碑は時の総理大臣犬養毅の書によるものです!
松本順は、初代軍医総監というだけではなく、十五代将軍徳川慶喜の侍医であり、新選組の局長である近藤勇と親交もあったという明治を代表する凄い人だったのです。
大磯がいわゆる「別荘地」となったのは、その松本順が「大磯は医学的にも健康に良い土地である」と都内に広めたからです。
大磯町としては感謝しきれないほどの恩人とのことで、石碑を建てた気持ちもわかりますよね。
11.照ヶ崎海岸
「照ヶ崎海岸」は「アオバト集団飛来地」として天然記念物に指定されています。
アオバトという鳥をご存知でしょうか?
山から5月初旬から10月頃に海水を飲みにやってくる珍しい鳥なのですが、なぜか北海道小樽市と、この大磯町の海岸にのみ群れでやってくるそうです。
通常、早朝と夕方に飛来するらしいので、この日は見られませんでした。
ちなみに、この日は照ヶ崎海岸では釣りをする人や、バーベキューをする人で賑わっていました。
照ヶ崎海岸は富士の見どころスポットとして関東富士見百景に掲載されているそうですが、今回は雲で見ることができず残念でした。また晴れた日に来たくなりますね!
住所:神奈川県中郡大磯町大磯
12.大磯港西防波堤灯台
さて、大磯巡りのラストは「大磯港西防波堤灯台」です。
そびえ立つ白い塔には青字で大きく「OISO」の文字があり、塔の下側には大磯のシンボルのアオバトが可愛くあしらわれています。
灯台までの道は「西防波堤釣り場」となっており、釣り人たちが魚を釣っていました。
ただし、この釣り場や灯台は利用可能時間があり、季節によって異なりますが7月時点では18時までですのでご注意ください。
住所:神奈川県中郡大磯町大磯
13.大磯市
もうすぐ17時になりそうだったので、大磯港から退散しようとすると…
どうも向かい側の浜辺に車も人もぎっしりです!
大磯を訪れた7月21日(日)は、大磯港で開催される「大磯市」の日でした。
大磯市は、通常ですと毎月第3日曜日に朝9時~14時に開催されるのですが、7~9月の3ヶ月間のみ夜市として17:00~20:30となります。
せっかく3ヶ月しかない夜市の季節なので、ぜひ参加してみくださいね。
住所:神奈川県中郡大磯町大磯1398-18
営業時間:毎月第3日曜日に9:00~14:00(7~9月17:00~20:30)
駐車場:臨港道路付属駐車場(大磯港駐車場) ※有料
公式サイト:大磯市
まとめ
大磯駅から半日もかからず、徒歩でぐるっとめぐれる範囲でも、これだけの見どころがあるのに感動しました。
大磯恐るべし…、ではなく、本当に素敵な街です(笑)
今回はご紹介できませんでしたが、大磯らしいアートなお店もたくさんありましたよ。
また別の機会にご紹介できたらと思います。
時間がゆっくり流れる大磯で、夏の一日を過ごしてみてください。