稲村ヶ崎は鎌倉市の南西部の岬で、その名前の由来は稲穂の形に似ているからだと言われています。由比ヶ浜と七里ヶ浜の間にあり鎌倉のなかでもとくに自然に触れることのできるエリアです。また稲村ヶ崎駅周辺は絶好の散策スポットで四季を感じながら稲村ヶ崎を散策してみるとその都度新しい発見がきっとあります。
江ノ電で鎌倉駅から5駅目の稲村ヶ崎駅。11分ほどで着きます。海沿い、国道134号線を車でドライブ!なんていうのも良いですが、鎌倉から江ノ島にかけて渋滞することも多いです。観光をするのであればぜひ江ノ電を利用して、自然と歴史に触れてみて下さい。
1. 稲村ヶ崎海岸
出典:湘南海岸不動産
稲村ヶ崎駅を出て下り坂を歩くこと約5分、海が見えてきます。黒っぽく見える砂浜は、地中に砂鉄が含まれているからで、よく見るとキラキラと黒い砂が光っていて綺麗です。ここから見る江ノ島と富士山は最高の癒しになるでしょう。
夏は江ノ島で行われる花火大会を稲村ヶ崎から楽しむなんていうのもおすすめです。寒くなり空気が澄んでくれば富士山はより一層綺麗に眺めれます。そんな稲村ヶ崎海岸は「関東の富士見100選」や「かながわの景勝50選」にも選ばれているのも自慢ですね。テレビや映画、PVなどの撮影にも良く使用されています。
以前は海水浴ができる海岸でもありましたが、現在では砂の流出が進んでいるので使用されていません。また、歴史的にも有名で、新田義貞が潮が引いた稲村ヶ崎から鎌倉に攻め入ったという場所でもあります。
交通:江ノ電「稲村ヶ崎駅」から徒歩5分
2. 鎌倉海浜公園 稲村ガ崎地区
出典:トリップアドバイザー
鎌倉海浜公園は由比ガ浜地区と坂ノ下地区とここ、稲村ガ崎地区に分けられています。由比ガ浜地区には遊具があり子ども向け、坂ノ下地区にはプール、稲村ガ崎地区には展望台や史跡と、それぞれ違った楽しみ方ができる公園です。
海に突き出た岬になっているのを利用して、とても眺めのいい公園になっています。ピクニック気分を味わうことができますが、どうやらトンビに食べ物を取られてしまう被害もあるようなので食べ物は気付かれないようにこっそり持って下さい。
ここには新田義貞徒渉伝説地碑があり、新田義貞の「鎌倉攻め」の歴史を感じることもできるので、ぜひ絶景と一緒に触れてみてはいかがでしょうか?梅雨の時期には紫陽花も見ることができますよ。
TEL:0467-23-3000(鎌倉市観光協会)
料金:無料
交通:江ノ電「稲村ヶ崎駅」から徒歩5分
3. 稲村ヶ崎温泉
出典:稲村ケ崎温泉
海岸のすぐ近くにあり、温泉に浸かりながら眺める景色は絶景中の絶景であり至福のひとときになるはずです。観光スポットを巡り疲れた体を癒しつつ、夕日が見れる時間に合わせて温泉に入ってみるのも良いですね。
2017年にリニューアルオープンし、おしゃれな内装になりました。温泉の色は褐色がかっていて黄金色に見えます。大昔に、この辺りには松林が広がっていてそれらが長い年月をかけ今、源泉になっているそうです。
海の目の前にありますが、分厚い岩盤によって海水が含まれていません。そして稲村ヶ崎温泉に含まれる炭酸水素イオンとメタケイ酸の濃度は世界的にも高いのも特徴です。
炭酸水素イオンは高い抗酸化作用があり、美肌やアンチエイジング・疲労回復の他にも身体の冷えや肩コリにも効果的です。メタケイ酸は天然の保湿成分なので保湿効果や肌の新陳代謝を促進させます。景色を楽しみながら肌や身体をケアできるのは最高です。
鎌倉市内では唯一の天然温泉で、内湯と露天風呂、サウナに水風呂があり小さめの施設ではありますが、18歳未満の方は入店不可になっていて、落ち着いた雰囲気となっています。観光の締めくくりなどにとてもオススメです。
TEL:0467-22-7199
時間:9:00〜21:00 定休日なし
料金:入浴¥1500
交通:江ノ電「稲村ヶ崎駅」から徒歩3分
4. 十一人塚
稲村ヶ崎駅を降りて、極楽寺駅方面に歩いて行くと住宅街に静かに佇む石碑が見えてきます。新田義貞の鎌倉攻めの際に大館宗氏の軍勢は極楽寺の切通しから攻め入りましたが、敵軍の守りは固く、11人が返り討ちにあい死にしました。
その11人の死を新田義貞は悼しみ遺体を埋め十一面観音の像を建てて鎮魂したので十一人塚と呼ばれています。今はお堂はないのですが、激戦が繰り広げられていたということが分かります。鎌倉の歴史に触れることのできるスポットです。
交通:江ノ電「稲村ヶ崎駅」から徒歩3分
5. 西田幾多郎の碑
海沿い134号線を歩いていると、丸い不思議な形をしたものが建っているのが見えてきます。晩年を鎌倉で過ごした哲学者、西田幾多郎を記念して建てられた歌碑です。日本を代表する哲学者で、京都大学の名誉教授でもありますが、この方の人生は決して順風満帆とは言えませんでした。
複雑な家庭環境から苦難や悲しみ、様々な感情を経験しましたが、幅広く多くの学問に触れ後半生になるとようやくその努力が報われてきます。複雑な経験をした上で沢山の学問に触れた結果西田幾多郎独自の哲学が出来上がっていったのだと思います。
そんな西田幾多郎は禅にも積極的に取り組んでいたそうです。そのきっかけになった親友の鈴木大拙(仏教の思想家であり、禅の研究もしていた同級生)が鎌倉の地で禅と深く向き合っていたのも関係して西田幾多郎は稲村ガ崎に移住し、余生を平和に過ごしたのかもしれません。
この碑は、永遠の美=永遠の女性を象徴していて、「七里浜夕日漂ふ波の上に伊豆の山々果し知らずも」という言葉が刻まれています。確かな歴史を感じつつ少し謎めいていて想像次第で色々な解釈の仕方があるのが魅力とも言えます。
交通:江ノ電「稲村ヶ崎駅」から徒歩7分
6. 日蓮袈裟掛松の碑
出典:トリップアドバイザー
法華経か真の仏教の教えであるとしていた日蓮は幕府に「邪宗を信仰して、法華経を信じなければ国が滅びますよ」といった内容の”立正安国論”を提出しました。実際に国の状態は悪く、日蓮の予言はあながち間違ってはいないことが後になってから気付かされます。
しかし当時は名の知れないお坊さんで幕府側も聞く耳を持つどころか、批判をしていると捉え日蓮は迫害を受けます。そして、処刑される場所に連れて行かれている途中に袈裟を血で汚してしまうのは恐れ多いとして松の枝に掛けて行った場所です。
弟子であった日実法師が松を守っていましたが現在は残っておらず、平成28年に新しく松の木が植樹されました。日蓮には不思議な伝説が数多くありますが法華経を広げるために沢山の難と不思議な出来事があったとされています。
鎌倉の地にはそんな日蓮の足跡があちこちにあり、稲村ヶ崎にも日蓮袈裟掛松の碑がこうして残っていているのです。
交通:江ノ電「稲村ヶ崎駅」から徒歩3分
歴史を”歩こう”
稲村ヶ崎で海や景色を眺めながらなんとなく歩いていても、きっと普通に目にすることができる碑は沢山あります。大体の人はなんとなくチラッとみて通りすがりますが、実は沢山の歴史が詰まっているんですね。
「なるほどこんなことがここではあったのか」「こんな人がここにいたのか」と関心しながら巡ってみればきっと眺めていた景色の見え方・感じ方はほんのすこし変わってくるはずです。
ぜひ稲村ヶ崎で自然と歴史を一緒に感じて下さい。